合唱劇「カネト」 天竜峡公演 "合唱劇「カネト」 in 天竜峡"

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第2部 合唱劇「カネト」

Photo by Y.Hiroyama
「これが天竜峡か!」
切り立つ崖を見下ろして、カネトは思わず息を飲み込みました。

「どうやって資材を運ぶんだ!
歩けそうな道なんてどこにもない!
いったいどうやって測量したらいいんだ」
Photo by Y.HiroyamaPhoto by Y.Fujimori
Photo by Y.Hiroyama
その時です。はるか真下の天竜川を、一艘の川船が、矢のようなはやさでくだっていきました。
「そうだ!天竜の人たちがいるじゃないか!
あんな激流を、たった竿一本で船を操って進む人がいるんだ。
立派にやり遂げてみせるぞ」

6.天竜峡
Photo by 天竜峡温泉観光協会
そう心に誓ったカネトでしたが厳しい自然にはばまれ測量は一進一退でした。

7.戦い
Photo by Y.Hiroyama
「ワー!助けてくれ!」
雪に足を取られ、仲間が足を滑らせました。
命綱のおかげで、かろうじて岩にぶら下がっています。
Photo by 天竜峡温泉観光協会
真下は断崖絶壁で落ちたら命はありません。
「命綱が岩でこすれて切れそうだ!ゆっくり、ゆっくり……」 「助かった!」

8.命綱
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Photo by Y.Fujimori
こんな事だけではありません。
天竜峡谷は野生の王国そのもので、カネト達はいのししやマムシ、蜂の急襲にあったりしました。
Photo by Y.Fujimori
雨の日が何日も続いたある日、タヌキのポン太がぷっつりと見えなくなってしまいました。
かなちゃんの良い遊び相手だったポン太はどこに行ってしまったのでしょう。
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9.雨
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10.ポン太
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Photo by Y.Fujimori
11.食料を求めて
Photo by Y.Fujimori
天竜峡に来て2年と数ヶ月、測量はついに完了しました。
これでアイヌ測量隊は古里へ帰れるのです。

12.帰れるぞ!故郷へ
Photo by Y.Fujimori
「さあ、みんな踊ろう!」
みんな嬉しくて、輪になって踊り始めました。
アラハオー ホイヤー イヤハオー ホイヤ……
みんなの顔が輝いていました。

13.喜びの踊り
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Photo by Y.Hiroyama
そこへ、工事担当の責任者、木本さんがやってきました。
「測量は終わりましたが、引き続き線路工事の現場監督を引き受けてくれませんか?
天竜峡〜門島間8.3キロメートルの工事はとても難しく、危険な工事です。
けれど、カネトさんならきっとやれる。」
Photo by Y.Hiroyama
「……分かりました。引き受けましょう。
頼まれた以上、必ずやり遂げて見せます。」

「だが、現場監督は大勢の人夫たちを指揮しなければならない。
アイヌの私に人夫達が素直に従ってくれるだろうか……」
Photo by Y.Hiroyama
ガー!ダッダッダッダッダッー
削岩機の音が山にけたたましくこだまします。

14.工事現場
Photo by Youki.HPhoto by Youki.H
Photo by Y.Hiroyama
台風で天竜川の水があふれ、土台ごと線路が流されてしまうこともありました。

15.カネトの夢が…
Photo by Youki.H
「このままでやり遂げることが出来るだろうか」
カネトは焦り、人夫達もいらだっていました。
Photo by Y.Hiroyama
「水だぁ!トンネルから水が出たぞ!」
トンネルの天井から水が出て、手がつけられないほどです。

16.工事現場
Photo by Y.Fujimori
「ちきしょう!こんな工事やってられねえ!
アイヌ野郎にこき使われるのはもうまっぴらだ!」
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不意に、荒くれ男が丸太でカネトに殴りかかりました。
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Photo by Youki.H
「どうせ壁をコンクリートでまくんだ!
こいつも一緒に埋めてしまえ!」
Photo by Youki.H
カネトは男達に、穴の中に放り込まれ、土砂で埋められてゆきます。
土砂をかけるスコップの音だけがガチャガチャと響きます。

17.襲われる
Photo by Y.Hiroyama
「聞いてくれ!俺は、北海道にいるときも、ここに来てからも、この仕事に誇りを持って生きてきた。
人間は姿、形でいきるのではない!おまえ達の夢や希望や、人間の誇りはどこにあるんだ!」
Photo by Y.Hiroyama
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「俺をアイヌとさげすむおまえ達は、何をしてきたんだ!
アイヌを殺すことが、おまえ達の誇りだというなら、さあ早く、コンクリートをこの穴にぶち込むがいい!」

18.アイヌの誇り
Photo by 天竜峡温泉観光協会
「カネトさん!大丈夫か!」
カネトの動じない姿に、荒くれ男達の手が止まったその時、工事責任者の木本さんが飛び込んできました。
カネトが穴から助け出されると、みんなから歓声がわきおこりました。
Photo by 天竜峡温泉観光協会
この事件で、ただひたすら自分の信念を語り続けたカネトに、荒くれ男達の態度もすっかり変わり、みんなで力を合わせて工事を進めていきました。
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こうして、工事をはじめて3年後、天竜峡〜門島間は見事に開通し、その5年後、飯田線は全線開通しました。
今も飯田線は、地域の足となり、谷あいをぬって走ります。
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19.完成
Photo by Y.FujimoriPhoto by 天竜峡温泉観光協会
Photo by Y.Hiroyama
20.エピローグ〜生命のコスモス
Photo by 天竜峡温泉観光協会Photo by 天竜峡温泉観光協会
Photo by 天竜峡温泉観光協会
アンコール〜線路がない歌
Photo by IidaFMPhoto by 天竜峡温泉観光協会


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